中坊竜堂ごあいさつ

面づくりは楽しい半面、苦しい部分もあります。なぜなら、新しいものを自身で創作することと違い、本物と似せることが技術として求められるからです。 古楽面を紐解いた古書で情報収集をしたり、専門書だけで形状を把握できない場合は、実際に社寺へ足を運び、細部の情報を得ます。 これ程、情報が氾濫した現代においては平面情報を得るのであれば、比較的安易なことではありますが、立体においては側面、 背面に至る平面では表現しきれない部分を探らなくてはいけないので非常に困難なことです。 実物を手元に持ち帰って作ることはできないため、幾度となく現地におもむいては、制作していくという気の遠くなる過程を辿ります。 また、対象物が経年劣化により破損し欠落している部分は、資料収集し破損部を埋めながら制作していきます。 しかしこの一つ一つの過程が面づくりの醍醐味でもあります。 先人たちが残した優れた美術品を正確に模写、復元し、生活に潤いをあたえる仕事を続けてゆきたいと思います。古楽面を通してほかにはない奈良の魅力に親しんでいただければ幸いです。

中坊 竜堂

 歩み

1940年 奈良市に生まれる
1960年 奈良県立奈良高等学校卒業
1960年 虎谷美術工芸社入社、虎谷満氏に師事
1971年 美術工芸中の坊 創設
1971−2008年 東京主要百貨店にて
  「奈良県工芸協会グループ展」を開催
1998年 個展「伎楽面一具展」近鉄西大寺店
2000年 中村光江氏に師事
  この頃より本格的に木彫り面の制作を開始
2005年 福井県「能面の祭典」入選
2006年 個展「中坊竜堂 作品展」奈良市工芸館
2016年 個展「能・狂言百面展」奈良市美術館

奈良古楽面中の坊 ひょっとことおかめ